私たちは、この地で昭和63年(1988)から障害のある園生と共に歩んで来ました。そして日頃から障害のある我が子に向き合う悩み多きご家族にも寄り添ってきました。たとえ大きな困難を抱えていても、受け入れてくれる場所が今までどこにも見つからなかった場合であっても、私たちは先ず彼らの能力を信じることから始めています。トコトン信じ、逃げずに真正面から向き合う事。そこが全ての原点です。立派な「社会人」として巣立っていった園生達は、120人を超えました。私たちが彼らとどう向き合っているのか?なぜ光の村では難しい障害があっても受け入れるのか?私たちの取り組みが、少しでも悩めるご家族の救いとなれば幸いです。
大きな奇声を発する・自傷行為が止まらない・脱走癖がありグループホームから退居を促された・親に暴力を振るう・他害がある、、今まで「光の村」では強度行動障害と呼ばれる方も含め、難しい問題を抱えた方々を多く受け入れてきました。私達が入所を断らない理由は、彼らの可能性を信じて学ぶことを諦めなければ「必ず変わる・必ず成長する」ことを知っているからです。
「重度の障害があるからできません・障害特性だから仕方ない」私達は幾度となく悩める親御さんからこの言葉を聞いてきました。我が子の問題行動が原因で、多くの苦労を重ねてきたご家族の多くは、本来彼らが持っている大きな可能性や成長を感じる事がないまま疲れ切っています。でも、もう一度信じてみて下さい。彼らは多くの可能性を持った存在であり、今抱えている行動障害は、決して元からの特性ではありません。私達光の村の「三つの学び」を支えるのは、何よりも親御さんの「可能性を信じる気持ち」なのですから。
光の村の学び×親としての学び
「一心同体」と言う言葉通り、体力不足や肥満、体の柔軟性の欠如などが原因で、思うように体が動かなければ、自発的な行動は生まれません。当然の事ながら、本人の達成感や満足度は低く、衝動的な問題行動に繋がりやすくなります。知的障がい者の行動障害は、支援のミスマッチから来る二次障害が原因と言われています。「体の学び」はバラバラになっている心と体を一つに結び、動ける体を手にいれる事を目標にしています。
自分でできるはずの自立的な行動も、親や支援者が必要以上に手を差し伸べている生活の中では、成功体験や達成感は決して生まれません。「暮らしの学び」は、日常の中の掃除・洗濯・入浴・衣類や寝具の片付け等、私達の暮らしを支える様々な事柄を、自分でやり遂げる力を学びます。もちろん習得するにはそれなりに時間がかかりますが、できることが少しずつ増えていく事で、自信がつき大きく成長してくれます。
全てのクラスに共通する学びの目標は、卒園後の仕事です。一年クラスの体力作り、任された場所を一人で清掃する基礎クラスの分担清掃や、簡単な加工技術や職場のルールを身につける紙器工場での学び、そして最終的には受注生産に携わりながら、就職へ繋げていくための実践的な仕事の学び。それぞれの園生の能力に応じた作業を通じ、園生達は将来へ繋がる「仕事」を学んでいきます。
※「日常生活指導の手引き」とは、どの支援者も同じ方法で教えられるように、入所者の混乱を防ぐ為、分かりやすい支援を目的として作成された生活教育の指導方法マニュアルです。
情緒の安定と成長
入園直後は環境の変化もあり、どの園生も不安定です。先ずはご本人が園での生活に少しでも早く慣れてもらう為、しばらくの間は帰宅せずに他の園生と共に光の村で過ごします。その間、週末は保護者が来園し、園の生活教育をご本人と一緒に取り組んで頂きます。ご本人が園生活に慣れてきた段階で、担任による「家庭訪問」を実施します。これは週末に帰宅しても園で身に付けた生活が崩れないよう、家庭内での過ごし方を具体的に提案する目的で行われます。
「家庭学校」とは親による生活教育です。これは入園後からご本人が頑張って身に付けた規則正しい園生活が、自宅に戻っても崩れる事がないようにする為です。この家庭学校を実施する事により、園と家庭の均等化を目指し、自宅でも落ち着いて過ごせるようになる事で親子関係の改善にも繋げて行きます。また月に一度の「父母会」で、担任と保護者で現在の課題や今後の取り組みを話し合い、常に園と保護者が同じ方向を向いてご本人の支援に当たるよう努めています。そして年に2回は親子研修を開催し、支援方法の確認やスキルアップを目指しています。
仕事をする前の段階として、働き続ける体力・気力・忍耐力を養うクラスです。入園した園生は全てこのクラスに入り、走り拭きと洗濯・入浴・歯磨きなど、生活の学びと体力作りが主な活動となります。入園当初は肥満傾向や体力不足など、様々な問題を抱えている園生がが殆どです。先ずはこのクラスに入り、今後の土台となる体作りから始めましょう。
午前中は単純な菓子箱折などの作業を通じ、職場での基本的なルールやマナーを学びます。午後は分担清掃と呼ばれる、食堂・階段・居室・トイレなど、一つの場所を一人で清掃できるように段階を追って学ぶクラスです。最終的には一つの作業を最後まで任せられるようになる事が目標のクラスです。
千葉県内のお菓子屋・煎餅屋・海苔屋などを取引先とし、注文に応じてボール紙からの裁断・手貼りにより各種の箱を製造、納品しています。8時間労働に耐えられる体力・気力・持久力を育て、手先の器用さや集中力を養います。最終的には一般企業での園外実習を経て、就労へ繋げていくことを目標としています。