卒園後
光の村の卒園生たち

光の村での寮生活と週末の家庭学校を経て、立派に成長した園生達。私たち職員にとって、園を巣立っていく彼らを見送ることは、大変喜ばしい瞬間です。光の村では、園生が自分自身の力で、規則正しく健康的な暮らしを継続できると認定した園生を、ご家族との話し合いの上で慎重に検討し卒園して頂いています。現在に至るまで、私たちは多くの園生を送り出してきました。このページでは、園で培ってきた「体・暮らし・仕事」の三つの学びを守り、地域社会に溶け込んで活躍している彼らの「今」をご紹介します。現在ご入園を検討中の皆様に、卒園後のイメージを描き易いよう、就労編・通所編・そしてアフターフォローも含めた園の対応をご覧ください。

卒園後、園と離れて一般企業や作業所に就労した卒園生をご紹介します。就労するにあたり、実習や自力での通勤が可能であるかどうかの検討を重ね、園と就労先、ご家族と連携しながら進めます。就労は、ご本人にとっても、ご家族にとっても不安も多いと思われますが、就労した多くの卒園生達は規則正しい生活を続け、それぞれ社会で活躍してくれています。毎日の仕事や家での日課、休日の過ごし方などをご家族に詳しくお話ししていただきました。



入園のきっかけと入園時の様子
入園前のカズさんの状況をご両親に訊ねるとこれといって思い出せず、何もしない(何もできないと思い込んでいた)お子さんだったようです。中学3年生の時、てんかん発作を起こすようになり、体を動かす機会も少なく、夜の寝付きも悪くて朝も起きられないお子さんだったそうです。中学校卒業後に特別支援学校の高等部へ進学しましたが、頻繁に発作を起こすようになり、学校に馴染めない状態でした。これ以上、高等部に在籍していても意味を見出せないことと、卒業後の進路に不安を抱き、光の村へ相談に来てくださいました。その後、入園するにあたり高等部は中退し、18歳の誕生日に仮入園。約1ヶ月後に正式に入園されました。入園直後は園の活動を嫌がり押し入れに隠れて逃げてしまい、なかなか変化の兆しが見えませんでしたが、ご両親も諦めず、大変ご熱心に関わり続けてくださったことで、一年程経過した頃、徐々に変わり始めました。
卒園後の仕事
卒園後の進路は園への通所も検討されていましたが、ご両親の判断で地元のB型事業所に就労しました。現在担当している作業は、部品類へのバーコードシール貼り・種用落花生の皮剥き作業・肥料(ぼかし)作り・電話機磨きなどです。卒園後も毎日の運動習慣を継続し、体力維持に努めているため、立ちっぱなしの作業でも、毎日頑張ってくれているようです。「がんばれーがんばれー」と、自分に喝を入れながら、夕方まで続く作業でも集中力は最後まで落ちないそうです。
卒園後の暮らし・週末の過ごし方
卒園後も、基本的に光の村で身に付けた生活習慣を守り続けています。朝6時に起床し着替えや布団上げを済ませ、部位運動を行います。そして1.5キロの早朝ランニングも自主的に行なっているそうです。事業所の送迎車が8:50頃に来るので、それまでに朝食や歯磨きを済ませておきます。帰宅は16:30頃と早めですが、米とぎや風呂掃除、洗濯、入浴、日記書きなどを行い、毎日遅くとも22時には就寝します。休日も基本的なリズムは崩さず、朝の運動に始まり窓や床の掃除をしているので、リビングの窓はピカピカでした。そして卒業してもマラソン大会や強歩大会には必ず参加してくれています。カズさんを中心に、ご家族が穏やかに過ごされている様子を拝見できました。これからも今の生活を維持して元気に過ごして欲しいと思います。





支援学校高等部三年春に体験入園を3回程実施 > 同年夏に高等部中退 > 10月に入園 > 一年クラス > 基礎クラスと進級して****年に卒園 > 社会福祉法人かたくり会のB型事業所に就業し現在に至る。



入園のきっかけと入園時の様子
入園前、ご本人はご家族が悩むような問題行動を起こすような状態ではなく「とにかく何もやらない子で、全部私がやってあげていました。」とお父さんが仰るように、ご自宅ではやる事や趣味なども特になく、ただ家でぼーっと過ごしている状態だったそうです。通っていた支援学校高等部3年の保護者たちと一緒に参加した施設見学会で、光の村の職員たちができるようになるまでは、手を取って真剣に支援している支援に感動し「絶対ここに入れるべきだ!」と入園を決断してくれました。高等部の卒園まで残り数ヶ月でしたが、中退してすぐに入園となりました。入園した当初は、園での活動に前向きな姿勢で取り組むことはありませんでしたが、掃除や調理を手順通りにご家庭でも根気良く関わり続けてくれたことで、徐々に前向きに変化してくれました。
卒園後の仕事
2015年6月に卒園し、翌7月に地元にできた「わーくはぴねす農園・市原」TSIホールディングス(アパレル企業)さんが運営する特例子会社に就業しました。広い敷地内に大型ビニールハウスが幾つも建ち並んでおり、キョウさんが作業を行うのはその中の一つのハウスです。パミスと呼ばれる軽石でできた人工畝(特許)を活用した水耕栽培を行なっており、トマト・水菜・小松菜・ほうれん草・レタス・カブなど、様々な野菜が一つのハウス内で栽培されています。パミスは再利用が可能なため、キョウさんは収穫が終わった後の次の栽培の準備作業として、中に残っている古い根を取り除く作業を黙々と行なっていました。
卒園後の暮らし・週末の過ごし方
朝は6時前には起床。テキパキと支度を済ませてお父さんと一緒にラジオ体操を外で行い、縄跳びもします。その後は5キロのランニングを18分台で完走 >シャワー>洗濯> 一階と二階の掃除機掛けと雑巾掛け・トイレと風呂掃除 > 朝ごはんの支度と食事>食器洗いを済ませてから9:40にお父さんの車で出発します。帰りは16:30に迎えに行き、17時前には自宅に帰ってきます。帰宅後は洗濯をたたみ、片付けを行い、夕飯の下ごしらえを済ませてからお風呂に入ります。入浴後に夕飯作りを行なって19時には夕食です。レシピは全て頭の中に入っており、数えきれないほどレパートリーがあるそうです。基本的に全て一人で動くため、お父さんは特に手出しをする必要がありません。日記や布巾縫いをして21時には就寝です。週末は朝の家事が終わるとお父さんとドライブへ出掛けます。行き先は二人で話し合い決めているんだとか。イワシ料理が美味しい港町へ出掛けたり、お二人で生活を楽しんでいる様子がとても印象的でした。





支援学校高等部3年で中退 > 同年12月に入園 > 一年クラス > 基礎クラス > パン工場にてパンの成形作業にも携わる。2015年6月に卒園 > 翌月7月に「 わーくはぴねす農園市原」TSIホールディングス特定子会社に就業し現在に至る。



入園のきっかけと入園時の様子
県立高校を卒園し、ビル清掃を行う特例子会社に就職したものの、通勤途中の万引きや勤務中のサボりや態度の悪さが問題となり、ご両親と会社側で度々話し合いを重ねたものの、同僚のロッカーから私物を盗んでしまった事が決め手となり最終的には退職せざるを得ない状況になりました。その頃はご両親や周囲とも常に対立するような関係しか作れず、嘘や言い訳が多く、指摘すると「〇〇さんはこういってました!」「いちいち細かい事を聞かないで下さい!」「僕なんか死んだほうがマシですよ。」と悪態をつくありさまでした。退職後、あかね園で短期の実習を受けたものの入園する事は叶わず、担当の相談支援員さんからの勧めで光の村に来園されました。高校を卒園してから10年目、ご本人が28歳の時でした。
卒園後の仕事
園では基礎クラスまで進級し、5年目で卒業。その後は希望していたあかね園へ入園することができ、2年間の自立訓練 > 就労移行支援を終了し、36歳の時に株式会社「京樽」に正式就労しました。現在は番重(ばんじゅう)と呼ばれる食品の一時保管や運搬に使われる専用のプラスチック製容器を洗浄する仕事に従事しています。作業中は消毒用の薬品や水を使うため、長靴、防水エプロン、厚手のビニール手袋を装着して一日6時間の作業に従事しています。またシフト制でお休みは不定期となっているそうです。体力的にも重労働でお寿司は季節によって繁忙期もあり、作業の増減もあることと思いますが、しっかり対応でき、安定して立派に勤めているようです。
卒園後の暮らし・週末の過ごし方
勤務の日もお休みの日も、朝は5時半に起床。布団上げや体操を済ませたら3.3キロのランニングをします。帰ると朝ごはんを済ませ、すぐに出勤です。作業着に着替えたらグループごとに行う9時の朝礼に参加 > 午前中の作業が終わると社販のおかずを380円で購入してお昼ご飯を食べます > トイレ休憩も挟みながら15:55に作業終了 > 16:15発の送迎バスに乗車して帰宅 > トイレとお風呂の掃除を済ませたら家族と夕食を共にします > 一人で近所のスポーツジムで汗を流し、ジム内にあるお風呂で入浴して帰宅 > 布団を敷いて22時ごろには就寝です。休日はいつもよりも念入りにお風呂やトイレの掃除をし、日中の大半をジムで過ごしてお昼ご飯も売店のパンやおにぎりを自分のお小遣いで購入しているとか。17:30ごろに帰宅すると、翌日の仕事の準備や洗濯たたみ、食器洗いを行い家手の伝いをしているそうです。お小遣い帳も毎日付け、お金の管理もしっかりしていて安心しました。





県立高校を卒園後にビル清掃業務を行う日本橋の特例子会社に就職して10年弱で退職 > あかね園の実習に参加 > 2015年3月に光の村に入園 > 2020年に卒園 > 同年あかね園に入園 > 自立訓練 > 就労移行支援を2年受けて卒園 > 2022年4月(ご本人36歳)株式会社京樽に就職し現在に至る。

一般企業や作業所への就労は、ご家族にとっても不安が大きいものです。園では卒園後も定期的にご家族の皆様と連絡を取り合い、本人の様子や就労先で何か問題が生じていないかの確認を行っています。必要であれば就労先へ職員が出向き、職場の担当者と今後のことや対応方法を一緒に講じることもあります。そして卒園後、いつでも気軽に相談できる関係性を継続するために、園の行事には卒園生が参加できる枠を常に設けております。ご家族が決して孤立することがないよう、親御さん達の大きな安心感となっています。
卒園後の主な進路
一般企業(特定子会社を含む)
(株)オランダ家・(株)ネグロス電工・生協ちばコープ・(株)ピアダスキン・(株)伊藤ハム・マクドナルド・セイミヤ・わーくはぴねす農園・千葉県教育庁パートナーズ幕張オフィス・リブレ京成
福祉作業所他
野田市立あすなろ職業指導所・鎌取福祉作業所・鎌ヶ谷作業所・佐原市あけぼの作業所・流山福祉作業所・松戸市立わかば園・カレンズ・清和園・成東町福祉作業所・いんば学舎・東京光の村授産学園・地域活動支援センターおみがわ・社会福祉法人青葉会 WITH US・望みの門 新生社・社会福祉法人かたくり会 ひまわり園・NPO法人あけぼのスペース若柴・社会福祉法人佑啓会 ふるさと学舎・

「通所クラス」とは、卒園後も光の村を引き続き利用したいご家族や、お住まいの地域に本人に合う就労先が見つからない場合、通所生として光の村の利用を継続している園生達のクラスになります。自力通所が可能な範囲内にお住まいの方に限られますが、園内の紙器工場で基礎クラスと紙器クラスが担当している作業に従事することになります。

8:00

16:30


※基本的に通所生は自力通所ができる園生に限られています。